考え事と備忘録と発見の集積。

結局使わないデリバティブ ~藤巻健史『マネーはこう掴む』~

0 件のコメント
前作、『マネーはこう動く』に続く藤巻健史さんのマネーシリーズ。
今回はなんと個人投資家に向けたデリバティブの話(副題:個人で使えるデリバティブ)。
しかし、個人投資のうちデリバティブ取引額って1%にも満たないと思いますが?
こんなにも薄いターゲット層めがけて、丸の内オアゾの丸善にヨコ20面×タテ20冊の勢いで平積みされた大量の本を見て、お節介にも心配になってしまい、たまらず一冊手にとってみた次第です。

目次
1章 ちょっと嫌味な話ー私の実績について
2章 デリバティブの重要性
3章 もし私がデリバティブの存在を知らなかったら
4章 先物とは?
5章 代表的取引1 為替の先物
6章 代表的取引2 外為証拠金取引
7章 代表的取引3 債券先物取引
8章 現物市場と先物の関係
9章 金融先物市場
10章 代表的取引4 日経225先物
11章 代表的取引5 日経225オプション取引
12章 今は危機か、チャンスか


総じていえば、やはり想定ターゲットが狭い。
投資の初心者にはややハードな内容だし、実際にデリバティブを始めるには実践的な情報が足りない。
ただ、ほんとにデリバティブをやるわけじゃないけど、概念として知っておきたいというニーズには応えていると思いました。
いつもの藤巻さんの語り口調で、わかりやすく書かれています。

私は現在仕事としてデリバティブを使っているわけではないけれど、先物やオプションの概念に精通しておくことはとても有用だと思っています。
なぜなら、デリバティブについてよく知らない人が多すぎるので、知っているだけでそれなりに付加価値を発揮できるからです。

この本の中で役立つと思った点
・債券先物を取引するときにどういうキャッシュフローを意識すればいいか(p.122)
・為替の先物価格は金利差で決まるということ(p.153)
・金融先物が将来の金利を予想するということ(p.159)

ちょっと首をひねった点
・FXを信用取引に近いものとして説明していること
・先物と先渡のちがいについて説明がないこと
・オプションの売りはやるべきではないと言っていること


ブックレビューを書こうと思ったきっかけは、この本が出版された直後、3月16日の朝日新聞に載った書評がとても心に残っていたからです。
一部抜粋。

とはいえ、最終的にいちばんよく理解できたのは、やはりデリバティブは素人には難しい、という事実。むしろ一般読者がひざを打つのは、高度で複雑な金融知識と経験を持つカリスマディーラーが、実際にどのような資産運用を行っているか、であろう。

と、新聞の書評にしてはお粗末な内容。
評者はもうほんとに読むのが苦痛で、やっつけ仕事で書き上げた感がひしひしと伝わります。
そこで私は自分のしていた心配があながち的外れなものではないような気がしてしまったのです。

すでに先物やオプションに興味を持っていて、具体的な取引を検討しているような人なら、もっと直截的なタイトルの本を買うだろうしなぁ。
以前からフジマキ本の読者だった人がこの本を購入し、藤巻さんがこう言っているから先物やってみようと思う人がいるのかな。

それにしてもレビュー書くときは、新鮮なうちに書くべきだというのを最近実感してます。
出版されてから時間が経ってしまうと、情報としての価値が
タイムディケイ(!)してしまうので。


RE: メガロポリスの地下迷宮 ~Spelunker in Tokyo~

たしかに駅の構内案内図は見てもよくわかんないよね。
東京は地下鉄が増えすぎてタテ幅がえらいことになってきてるね。
新宿駅はもちろんのこと、私はこないだ東京駅の「グランスタ」がどこにあるのかわからず15分くらい徘徊してました。。
梅田と大阪と北新地の位置関係もいまだにわからないし。



0 件のコメント :