副題は「家・車・保険、「人並み」な買い物が破滅を招く」。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)まず「人並み」な過剰消費をやめれば、お金持ちへの道は開ける。カリスマ経営コンサルタントがサラリーマンのために教える、お金の現実を知って、したたかに生き抜く知恵。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 サラリーマンの“お金の大原則”─実は、家1軒分のお金はカンタンに貯まる(誰でもわかる算数/便利という“分断”/奴隷制度は続いている? ほか)
第2章 サラリーマンのお金の使い方を考える─今すぐ年収の3割を貯金すべき理由(基本編/住居費─住宅って、こういうものだったんだぁ!!/社会保険料─貧困の元凶 ほか)
第3章 サラリーマンの運用を考える─余裕資金が貯まったら、次は“世界市場”を買う(配分をどうするか?─運用の前に考えておくこと/株式/投資信託(アクティブ投信)─みんなに投資信託を買ってもらおう!! ほか)
エピローグ─世界で一番やさしい算数
最初のページにこう書いてあります。
収入よりも少ない支出で生活すればいい。
「そのとおり!」と思わず叫んでしまいそうなこのことば。
あたりまえなのに、なぜか忘れてしまいそうになることばです。
とはいえ私の場合、奨学金以外の有利子負債はないのでそんなに深刻な状況ではないかと。
ところが、著者が実践した節約生活はそんなレベルにとどまらず相当ハンパないです。
結婚に際して妻の貯金を取り上げてしまったり、工務店に依頼せず自分で家を建ててしまったりするあたりは、真似できる範囲をかなり逸脱してます。
ただ、次の一節はかなり真実に近い言葉だと思います。
「“人並み”という誰もが可もなく不可もないものとして目指す生活は、実は、あなたの貰っている給料では成り立たないレベルにある」(24ページ)
私が多くの節約本を好きになれないのは、「収入を増やす」という観点がまったく欠落していて、「それは節約ではなく貧乏性では?」と思われる、ほぼ計測不能なアイディアであふれているからですが、著者の立派なところは、「能力をつけて、お金も貯める」と書いているとおり、節約生活をしながらきちんと税理士資格取得という収入を増やす努力もしたことだと思います。
私には、トイレットペーパーの質を落として年間1000円節約することより、年収が1000円増えることを目指す方が建設的に思えるのです。
支出を減らすというのは、食パンが10円安いスーパーを探して走り回るようなことではなく、前提から考えることなのだと思います。
著者本人は自営業なのでリスク運用はしない主義だそうですが、本の後半で投資指南もしています。
前半の舌鋒鋭い論調からはややトーンダウンし、インデックス一辺倒のポートフォリオづくりを推奨。
しかも、日本市場を除いた世界のインデックスでの運用を薦めています。
「目新しいことは言わない」という著者のポリシーと矛盾はしていないものの、前半で『ウォール街のランダムウォーカー』のマルキール氏を批判しておいて結局それかい!というのが率直な感想です。
はたまた文中で『ブラック・スワン』のタレブ氏の言葉を引用するいっぽうで、効率的フロンティアやらシャープレシオやら旧来の現代ポートフォリオ理論に全面的に依存している硬直的な投資手法は、「ほんとにこの人『ブラック・スワン』読んだのかしら?」と疑問に思うには十分です。
結局、著者の考える「一番食いっぱぐれのない資産運用方法」がそれだということらしいです。
著者自身は適用税率50%の高額納税者であると文中に書いてあったので、経済的には成功している人です。
収入の3割を貯蓄するのも、インデックスファンドを定期的に積み立てるというのも否定の余地はありませんが、私の結論は「この人が結婚相手じゃなくてよかった」ということです。ほっ。
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