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経済的満足度は相対的なものである ~中谷巌『資本主義はなぜ自壊したのか』~

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ひさしぶりに紹介したい本があった。
中谷巌『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル)

「構造改革の急先鋒であった著者が記す『懺悔の書』」という帯がついている。
かなり、おもしろかった。

まず、中谷巌という人が私の考えにこれほど影響力をもっていたということに正直驚いている。
彼はハーバード大の経営学Ph.Dの保持者で、小泉内閣のとき竹中平蔵氏といっしょに構造改革の最前線を走り、ソニーの取締役だったこともある。
彼のような人が自分の過去をすべて否定するようなタイトルの本を出して、自分の考えが変化したと大々的に発表しているのだ。

文中で彼は、世の中には決して市場で売買してはいけないものが3つあって、それは貨幣と土地と労働力であるという。
以下は貨幣についてのくだりだ。

貨幣とは単なる記号、シンボルであり、取引における道具(ツール)にすぎないのに、その貨幣があたかも商品のごとく市場で売り買いできるとするのは、まさに虚妄に他ならない。

こんなことほんとに思ってるんだろうか?といちいち穿った見方をしてしまうが、彼の「転向」の真偽はともかく、彼が論拠を示すために引用するエピソードのひとつひとつが興味深かった。
ブータンやキューバは資本主義じゃないのになぜあんなに幸福感にあふれているのかとか、資本主義の構造的な問題をうまく表現しているマルクスのことばとか、一般的に賞賛されているアメリカの価値観がじつは諸問題の根源になっている点とか、一般的に軽んじられている日本人の特性がじつは日本経済の強みになっていた点とか、よく勉強しよく行動してきた人の話はさすがにおもしろいなぁという感じ。

格差問題や貧困層の話に及んでくると、じゃあ人の幸せって何なんだろう?という疑問が頭をもたげてくる。
ブータン人やキューバ人や北欧の人々の大多数がほんとうに幸福なのだとしたら?
いろいろ考えたけれど、つきつめていえば、自分は隣の人よりも豊かかどうかが経済的幸福の尺度になっているのだと思う。
自分の年収が300万円でも隣の人が年収100万円でもっと苦労していたらなんとなく安心してしまうし、自分の年収が1000万円でも隣の人の年収が1億円だったら内心おだやかではないだろう。
このことに気づけば、自分という軸をぶらさずに身の丈に合った生き方をするのが大事なんだなぁとあらためて思う。
(どういうわけか気がつけば無駄遣いをしているけれど。)
振り返ってみればサブプライムローンの問題も、身の丈に合わないレバレッジ投資が「資金の有効活用」であると正当化されるアメリカの価値観を体現しているといえる。

国民の貧困と国家財政の赤字を解決するために中谷氏はひとつの提案をしている。
まず、消費税を20%にし、国民全員にあまねく40万円の還付金を支払うというもの。
そうすれば、年収200万円の人には消費税が100%還付されることになる。
しかしこれもよく考えてみれば年収200万円の暮らしは相当厳しく、ほとんどその日暮らしだ。
いくらあとで返ってくるからといって、そんな人から日々消費税20%を巻き上げたらどうなるだろう?

ついでに私の(あわよくば他人にも強要したい)価値観というのは、
・コンパクトシティの推進(効率化)
・自家用車をもつな(自動車税増税)
・国民全体の休日を増やす
・貯蓄ゼロの撲滅(身の丈を知る)
・生活保護ではなく生活保護施設に入れる
・安定した生活が得られやすくする(生活リスクの低減化)
・共働きが子育てしやすく
・年金の税源化
・相続税の重税化
だいたい以上に挙げた点で、こうして眺めてみると、私は大きな政府を志向しているようだ。
そうだったのか、私。




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誰にでも職場の不満はある~「Google社員が辞める理由」~

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ナオコです。
全世界の天才理系学生が大挙して応募するといわれるグーグルの採用試験。
ものすごい倍率を飛び越えて入社しても、失意のうちに辞める人が多いらしい。

「Google社員が辞める理由」

こんな「優良企業」の元社員にシンパシーを感じるとは思いませんでしたが・・・。
よく話題にのぼるストックオプションもここ数年に入社した人にとってはありがたくもなんともないだろうなぁ。
しかし創業者へのロイヤリティを失わなかったのはすごい。

I did however meet with Larry and Sergey during a product review meeting, and have only good things to say about these 2 guys.
Regarding compensation, I did have to negotiate quite a bit to get on par with what I earned before.
For options however, I didn’t get much (something like 180 options and 330 gsu).

しかしながら私はラリー、セルゲイとプロダクトレヴューミーティングに同席したが、彼らについては褒めることしかない。
給与面では、私は以前稼いでいた分に相当の上乗せをする交渉をしなければならなかった。
オプションについては、そんなにもらわなかった(180オプションとGSU330株くらいのものだ)。


あと、私とちがうのはこの人たちには再就職先があるということかな!
グーグルに勤務していたことによって信用が高まり、楽に転職できたという話もところどころ出てきます。

Most of the adwords support people I talked to complained a lot about their situation.
Not only were they generally overqualified for the jobs (given what the work actually was, but Google has always prided itself on having people with extra education) but they could fairly easily have gotten higher-paying jobs elsewhere.

私が話したアドワーズサポートのほとんどの人々は、みずからの境遇にかなりの不満を持っていた。
全般的に彼らは与えられた仕事のわりに学歴や資格がありすぎるだけでなく(実際の仕事内容が何であれグーグルは学のある人々を抱えていることをいつも自慢にしていた)、かなり簡単により高給なほかの仕事を見つけることができた。

まあ、一言でまとめればどんな職場にも辞める理由は山ほどあるということです。

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数字の主観

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ナオコです。
あれよあれよという間に年が明けてしまいました。
だからといってネタがあるわけではないんですが。

今回は数字の主観性についての覚え書き。

①イギリスのスーパーでよく目にした"BUY 1 GET 1 FREE"というのは、
 翻訳すると「2つ単位でしか売りません」だということ。

②20代後半というのは26歳からではなく25歳からだということ。

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