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元左翼とカルト教団の邂逅 ~村上春樹『1Q84』~

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ひどく興ざめした一部分を除き、概して良かった。
ただ、話題先行型でよく売れているが「おもしろい」という感想は耳にしなかったので、それほど期待もしていなかった。
買った理由は世間で話題になっていたからだ。

私はとくべつ村上春樹さんのファンではないので彼の作品群のなかで『1Q84』がどのような位置づけになるかということを云々する気はないけれど、引き込まれ具合は『ねじまき鳥クロニクル』のほうが断然強かったし、作中チェーホフの小説についての描写にあったような無駄のなさも感じられない。
しかし、青豆と「さきがけ」の教祖との会話は興味深かった。

ところで、「タカシマ塾」と「さきがけ」という宗教団体の記述に、元左翼が山中の土地を買って農業を営むようになり有機野菜の通信販売をはじめたというくだりを読んで、どこかで聞いたことのある話だと思ったら、藤本敏夫さんの「鴨川自然王国」に似ているのだった。
「鴨川自然王国」は宗教団体ではないが、全学連委員長→勾留→大地を守る会→鴨川自然王国という流れまではかなり似ている。
参考文献は加藤登紀子『青い月のバラード』藤本敏夫『農的幸福論』 の2冊。
加藤登紀子さんの日記に『1Q84』について書かれていたが、以上の点についてはとくに言及がなかった。

上下巻ではなくBOOK1、BOOK2としているのは話の続きを示唆しているのだろうか?




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